待ち人来る
初めてあなたに会ったとき、わたしは老成しつつも未熟で、どこか不安定なこどもでした。
諸々の古き軛に更なる重石を、と、まるで自分自身に鞭を打つかの如く、新たな人生を繰り返し繰り返し誕生させては黒い衣を纏わせていたのです。

初めてあなたに会った日、わたしはあなたの世界の中で彷徨う大勢の人を見ました。
誰もが何かに戸惑い、飛び回り、腕を撓らせ、中には自らの衝戟によって命を落とすものもいましたね。

土の上に落ちた白い塊も、折々に出会う鳥のような異形も、最初のうちは上等なもてなしを受けていたのに徐々にその存在を忘れられ、2度目にあなたに会ったときには、それらはもう単に打ち棄てられ忘れ去られ邪魔にされ、まるで愛亡き世に生まれた伝導者のような扱いでした。

人々の目的はただ自身の欲望を満たすことのみ。

日が経つにつれ、ほぼすべての人が強欲な骸骨となり、通りすがる者をその虚ろな眼窩で睨みつけ、振り回すその棘のような白い腕は思うさま空気を切り裂いていました。

それはわたしも同じで、無心になって左上を睨み、3600秒の間にどれだけの数を数えていけるか、そればかりを続けていました。

仲間と話すこともなく。

むしろ仲間に出会ったらそっぽを向いて、出来るだけ離れようとするのです。

少しでも孤独であるように、できれば誰にも遭わずに、周りで蠢く小さく罪深い生物の苦痛の叫びだけを聴きながら、ひたすらに数を数える。


ああ、あなたはそんなふうにわたしを、友人を、仲間を、全ての人たちを狂わせる。
そしてあなたはわたしがこれまで決死の思いで集めてきた金の硬貨を容赦なく搾り取る。


嫌いです。
大嫌いです。


なのに。
なのにどうして。
いつの間に、わたしはこんなにもあなたを求めるようになったのでしょう。


もう二度と会いたくない、と、わたしはあの最後の日に思っていたはず。
こんな日々を過ごすのは金輪際耐えられない、と。



だけどあなたにまた会えると知って、わたしの心は秘かな喜びに震えました。

あなたに会って、3600秒のあの苦痛に満ちた快楽を味わわせて欲しくてたまらない。
わたしの財産すべてを擲ってでも、あなたがくれるその経験を手に入れたくてたまらない。

いつからわたしはこんなに不健全で貪欲で歪な人間になってしまったのか。


決して愛してなどいないのに。
二度と会いたくなどなかったのに。


この次あなたに会えば、わたしはまた少し、大人になるのでしょう。
そしてそれが待ち遠しくてたまらない・・・




The Bomber in Rain
2016.6.8~2016.6.22 開催





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by kyaren | 2016-06-02 11:38 | リネ風景 | Comments(2)
Commented by Mochonma at 2016-06-02 14:58 x
一発ずつ愛を込めて爆弾を落とそうと思います。
Commented by kyaren at 2016-06-04 21:59
ともすれば忘れがちになりますが、得られる経験値を糧として、いただきますの精神で、わたしも一発ずつ愛を込めて爆弾を落としてまいりたいと思います。
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